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原作ファンも納得!

映画化の改変が大成功した傑作『GANTZ:O』

映画化の改変が大成功した傑作『GANTZ:O』

2013年に連載が終了した、奥浩哉氏のSF長期連載漫画『GANTZ』。 この作品は2011年に実写化されましたが、2016年10月には実写化とは別のエピソード(大阪編)が、CGアニメという手法で再度映画化し、こちらは『GANTZ:O』というタイトルで公開されました。 今回はその『GANTZ:O』を公開初日に鑑賞し、しかもDVDまで買ってしまった大ファンが、魅力を語ります。

『GANTZ:O』は主人公の玄野が出ない大阪編、では主役は?

『GANTZ』の主人公は、玄野計というキャラクターです。
原作の大阪編で彼は吸血鬼の襲撃に遭い、リーダーシップを取るのは、サブ主人公と言える加藤勝となります。
そのため映画『GANTZ:O』も、加藤が主役の立ち位置になります。

でも、これ、一作限りの映画でどう描く?

これが鑑賞前から疑問でした。

それが、観てみると、なんたる自然な改変!
玄野はこのエピソードの前のミッションで死亡したことになっており、物語のつながりにおいては違和感まるでなしです。

しかも、加藤が今回初めて参加するということになっているため、GANTZのルールがまるで分かっていません。
そのため、ミッションを繰り返しているレイカや鈴木のおっちゃんが都度ルールを教えることになるので、原作を読んでいなくてもすんなりと物語に入っていくことができます。

色彩と音の凄み、迫力ある展開が大阪編を見事に描く

モノクロ原作の大阪編が、大画面で色と光、そして音に彩られることで、大迫力です。

大阪編の敵は妖怪ですが、決してその色合いはカラフルではないものの、ぬらりひょんや天狗の皮膚の色や皺、お歯黒べったりの和服、色鮮やかさと妖怪らしい動きがつき、目を奪われます。

そして、色と動きといえば、アイドルでありながらミッションに参加するレイカの黒いロングヘアの艶や動きにも、美少女に対するこだわりが出ています。

大阪チームの個性が画面に溢れ返る

大阪チームは、リーダーの室谷、彼と行動を共にする島木などを中心に、ミッションに慣れている面々で、オラオラ感がすごい。
原作ファンとしてはこれを映像と声で楽しめるだけでも、『GANTZ:O』の世界が堪能できていいんですよ。

そう、関西の中でも大阪チームはオラオラ。
ミッションを何度もクリアしている連中なので、妖怪を嬲り殺し、仲間がうっかり死んでもそれは本人の失敗でしかありません。
そうやって勝ち残ってきたからこそ、おそろしい自信があるやつら。
東京チームの知性と、大阪チームの戦いを楽しむ外道ぶりが対極的。

最多数クリアで最強の武器を持ち、負け知らずの岡八郎のビジュアルが、映像では特に魅力的です。
イイオトコ、というのではなく、ミッションにおいては野獣ですね。普段は七三分けの銀行員ですが。
このキャラクターが光を放って動く面白さ、そして最強であるはずの岡が上半身で真っ二つにされてしまう。
ぬらりひょんがどこでどう仕留めてこうなったのか、それが描かれていないだけに、ラスボスぬらりひょんへの恐怖度が、画面上でアップするシーンです。

動き出す微弱な残兵たちに手の汗握る

大阪チーム杏以外ほぼ全滅、勝たなければGANTZのルールで全員死亡。
ぬらりひょんから逃げ回って時間をかせいでいればいいわけではなく、仕留めなければゲームオーバーで、ミッションはバッドエンド。
でも、残っているのは大阪チームに言われたように、「初心者とおっさんと女と中坊」
しかいません。

初心者である加藤には、小学生の弟が、何も知らずに待っています。これが原作でもいつも、加藤に生きようと自分を奮い立たせる行動原理になっています。弟を一人にできませんから。
そして杏も、三歳の子を一人にはできない。二人ともミッションを無事終わらせて帰らなくちゃいけないんですよね。
GANTZ球はどうしてこういう人間までミッションに巻き込むのかなあ、といつも思うんですが、その惨さが作品を面白くもしています。

岡の言葉にあったヒント「意識の外からの攻撃」「不意打ちしか効かない」を頼りに、杏を犠牲にしながらも、ぬらりひょんを倒す微弱なメンバーたち。
これ、『GANTZ:O』だけ見ると、東京メンバーは何たる弱さよ、と思ってしまうかもしれませんが、原作全巻通すと、東京チームはチームワークも取れて強化されてきています。
だから、この映画だけ見ると、原作ファンとしては口惜しくは感じるんですよね。レイカも鈴木のおっちゃんも、いつもはこんなに腰引けてないよなあ、という風に。
だからこそ、最後、最強のラスボスに立ち向かったメンバーたちに、これこそGANTZの世界だ、と興奮を隠せなくなります。

原作未読では意味が分からない点もある

原作未読の人でも分かる一作とはなっていますが、ラスボスを倒した加藤にガンツ球から与えられた100点、これのボーナスで加藤は「記憶を消されてGANTZ部屋とミッションからの解放」を選ばず、死んだ杏を生き返らせます。

さてですね。
未読の人に分からない様子であるのが、ここでした。

・ミッションが終わるごとに部屋から出て帰宅できる
・記憶を消されて家に帰る

この区別がつきにくいかもしれません。
これはていねいに描かれた原作の初期を読まなければ分からないかもしれませんので、ぜひ原作も合わせて読むことをオススメします。

〇〇編をまた見たい!

実写もアニメも観ましたが、大阪編だけではなく、別のエピソードも映画化してほしいと感じます。
しっかり原作をリスペクトして、映像化にあたり改変が必要な部分は不自然にならないように作り変えています。
漫画の実写化は反対ではありませんし、GANTZの実写化は比較的よくできていたと思いますが、やはり夢中になったのは、この『GANTZ:O』です。
原作未読でも、GANTZの世界に触れたことがない人でも、この作品はオススメできますから観てほしいと思います。