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映画『LEON』が10倍面白くなるポイント

映画『LEON』が10倍面白くなるポイント

1994年に公開された映画「LEON」。この映画の存在を知らない方はいないでしょうし、実際にこの映画を観たことのある方も多いはずです。 ただ、「LEON」がどのような映画だったかを振り返ると、「なんかプロの殺し屋が出てくる映画でしょ」とか、「少女と男が出会ってなんか別れちゃう映画だっけ」などと全体の印象がおぼろげになっている方も少なくないでしょう。 そんな方に、改めて映画「LEON」を観て頂き、その面白さを知ってもらうべく、映画「LEON」が10倍面白くなるポイントをお伝えします。 なお、この感想・解説はネタバレを含むので、未視聴の方はご注意下さい

惹かれ合う孤独な魂…二人の主人公

「LEON」の主人公はご存知の通り2人います。
一流の殺し屋であるものの文字すら読めない孤独な男レオン、そして、虐待をする家族すら麻薬密売組織よって失った少女マチルダ
2人は、あまりにも孤独な状況です。そのことは、映画冒頭、父に殴られ鼻血を出しているマチルダにハンカチを差し出すレオンとの会話(「大人になっても人生はつらいの?」「つらいさ」)からも明らかです。

そんな彼らは、お互いの孤独の香りに惹かれるように関わっていくことになります。
そこにあるのは、単なる人と人の出会いというよりもむしろ、『魂の出会い』とでも言うべき、強い引力が働いているように見えます。

そして 本作の一番の見どころは、そんな二人、レオンとマチルダのそれぞれの『希望の発見』にあります。

映画の内容を覚えている方からすれば、「いやいや、レオンは死んでしまうのだから希望も何もないだろう」と思われるかもしれません。
しかし、この映画においては、主人公であるレオンとマチルダ、それぞれが希望を発見する点で共通しています。
そして、その部分こそが、この映画の一番の見どころといえます。

孤独の中に生きる少女「マチルダ」

まず、一人目の主人公マチルダについて。

家族から虐待を受け、大人に絶望していたマチルダ。
彼女は麻薬密売組織に家族を殺され、完全な孤独となります。そこをレオンに救われ、彼とともに過ごすようになります。

それまで自分より年上の人物には、たとえ姉(義姉)だとしても心が開けなかったマチルダですが、レオンとの出会いによって大人(社会)が怖いものではないことを知ります。
レオンともに、モノマネをしながら遊んだりするシーンが、そのことを明確に語っていますね。

しかしその後マチルダは、自らの行動(麻薬密売組織の組員であり、麻薬取締官のスタンスフィールドを殺そうとする)によって、最良の友人であり、ソウルメイトのレオンを失ってしまいました。ただ、レオンという存在と出会い、その人が命をかけて自分を護ってくれたという事実は彼女の中で生き続けます。彼女はレオンという存在を通して、大人(社会)が恐ろしい存在ではないことを知ります。
学校の寄宿舎に戻ったマチルダは、家族に虐待されながら耐え忍ぶそれまでの孤独な日々とは異なり、今度はレオンの形見である観葉植物とともに、まっとうな場所で生きていくことになります。
レオンの肉体は消え去ってしまったかもしれません。
しかし、彼女の心にはレオンの存在が残り続けます。居続けます。
レオンとともにこれからまっすぐな人生を送ることができるようになったラストの状況は、彼女にとって『希望の発見』と言えます。

未来の彼女を守るため…爆死を選んだ主人公の「希望」

そして、もう一人の主人公、レオン。

レオンは、映画ラストにマチルダの家族を殺したスタンスフィールドを巻き込んで爆死をします。
彼は、なぜそこまでしたのでしょうか?

一流の殺し屋であるものの、実際は読み書きすらできないレオン。
意志なく生きるレオンにとって、マチルダと出会う前までの日々はあまりにも淡々としており、なぜ生きるのか全く分からないような状況だったはずです。

そんな彼に初めて、マチルダという護るべきものが生まれた。
そこにあるのは、簡単に愛情などと表現できるレベルのものではありません。
マチルダの存在は、彼にとって切実な「生きる理由」そのものだったはずです。

あの状況で、スタンスフィールドを殺すことは、未来のマチルダを護ることに他なりません。
なぜなら、スタンスフィールドを殺そうとしたマチルダは、生涯に渡り彼から生命を狙われることになるからです。
だからこそ、レオンはスタンスフィールドを殺さなければなりませんでした。
レオンはプロの殺し屋ですが、マチルダと出会うまでの殺しは、全て仕事としての殺しであり、そこに彼の意志はありませんでした。
そんな彼が明確な意志を持って、それも自らの命を捨ててでも成し遂げたい殺しこそが最後の爆死です。
マチルダを護る、未来のマチルダを護ることができた。
その希望を持って彼は死を選ぶわけです。

そこにあるのは、マチルダと出会えた奇跡によって手に入れた本来の自分(アイデンティティ)の発見であり、「自分は、人生で最も大切な人を護るのために死ぬことができた」という『希望の発見』だといえます。

『惹かれ合う孤独な魂』が、互いを通じて『希望』を発見していく。

映画『LEON』は、大人になればなるほど、味わい深くなる作品です。
この機会にぜひ、再視聴することをオススメします。