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ランキング上位には入らないがすごい作品

5000本見た筆者が最も勧める作品『物語る私たち』

5000本見た筆者が最も勧める作品『物語る私たち』

大手サイトや雑誌の映画ランキングなどに挙がってこないけれど、すごい作品が世の中にはまだまだあるのではないか? そんなことを思っている方は、ぜひ本作『物語る私たち』をおすすめします。 私は、これまで憶えてる限りで5000本程度は映画を観賞しておりますが、この映画は、私の中でもっと多くの人に観てほしい映画堂々のNo.1です。

事実の背景にある「真実」に目を向けられるようになる

この『物語る私たち』はカナダの映画です。
ドキュメンタリーということもあり、上映当時ほとんど上映館もなく、口コミで広がることもありませんでした。

それでも、「誰がなんと言おうとすごい作品」が世の中には存在します。
私はこの作品をすすめなければならない。
私だけは、この作品を大事にしなければならない。
そんな作品が、誰しも1作品は思い当たるのではないでしょうか?

私にとって、それが本作です。

一体この映画のどこにそこまで強烈なフックが含まれているのでしょうか?
私が本作を強く人にすすめたいのは、この作品を観たことで二つのことを確信できたからです。

1,「真実」とは、比較するものではなく各々の心の中に存在する。

2,「真実の愛」はときとして、事実をも追い抜いてしまうもの。

実際、私は本作を観て以降、事実に戸惑い、心を乱されることが格段に少なくなりました。
それらの背景にある「真実」に目を向けるようになったからです。

日々の生活の中で突きつけられる事実に戸惑い、心を乱されている方には特に観てほしい作品です。

亡き母の真実の姿を求めたドキュメンタリー

あらすじ
サラが11歳のとき、母ダイアンは若くして病死してしまいました。
五人兄弟の中で末っ子のサラだけが、髪の色や歯並びなど似ていない部分があり「サラだけがパパに似ていない」というジョークは家族の中でおきまりのものでした。
サラはある日、そのことに不安を覚え、本当の父親は別にいるのではないかと、母の人生と自らの出生の秘密を探り出します。
やがて母を知る人々から、サラの知らないダイアンの秘密の恋が明らかになり…。

監督のサラ・ポーリーは『死ぬまでにしたい10のこと』で主演をつとめ、2006年に初監督・脚本作『アウェイ・フロム・ハー君を想う』を製作。同作は第80回アカデミー賞脚色賞にもノミネートされました。
本作は自身三作目の監督・脚本作。
サラ・ポーリー監督の実際の家族をテーマにしたドキュメンタリームービーです。

女優として波乱万丈で情熱的な生き方をした母の一生には、一つの秘密がありました。
生前の母のことを家族や友人それぞれの視点で物語ることで真実にせまる作品です。

本作のユニークな点は、”本当の父”という「事実」を探り出すストーリーなのに、それぞれの人から聞く母ダイアンについての話はほとんどが事実ではなく「真実」ということです。

しん‐じつ【真実】
>うそ偽りのないこと。本当のこと。
また、そのさま。まこと。「真実を述べる」「真実な気持ち」
>
じ‐じつ【事実】
1、 実際に起こった事柄。現実に存在する事柄。

※デジタル大辞泉調べ
https://kotobank.jp/word/ コトバンクより引用)

彼、彼女らは全て自分達にとっての真実を語っていますが、ダイアンという人物のとらえ方は必ずしも同じではありません。
しかし、当のダイアンはすでにいないため、事実に最も近い「真実」は結局分かりません。
本作は、虚実や一貫性よりも、皆の心の中に生きているダイアンの真実の姿を大切にしているのです。

なぜ、事実を追いながら、真実を集めて提示するのでしょうか?

それは、ある強烈な”事実”が解き明かされた後、観客に強い感動を与えてくれるのがこの「真実の想い」や「真実の姿」だからです。

親子の真実の愛は、事実を追い抜く

本作の一番の見どころは、父とサラの親子愛です。

父とサラは仲がよい親子です。
兄弟姉妹も年が離れていたため、ある時期何年間か父とサラは二人きりで過ごす時期があります。
サラは、かつては俳優だった父から映画のことを学びました。
お互いにとってかけがえのない存在です。

”事実”が解き明かされた後、その親子愛を描いたあるシーンで、真実の愛が事実を追い抜いてしまう瞬間があります。

追い抜くとは、目をそらすことではありません。
例えば、もし自分にとって大切な一人が亡くなってしまった。という事実が起こります。
「でも、私の心の中ではずっと生きている」と考える。
これは真実だとは思いますが、亡くなったことから目をそらしているともいえるでしょう。

本作が辿りついた親子愛は、こういったものでは決してありません。
事実を受け止めた上で、真実の愛を形にしているのです。
その絆の力強さ、親子愛の尊さにきっとあなたも心をうたれることでしょう。

まとめ

アットホームなファミリーものではありませんが、確かな意味で家族を描いた作品です。
「家族とは、親子とは、一体なんなのか?」の一つの回答を得ることができます。

”事実を追い越した真実の親子愛”にぜひ、あなたも触れてみてください。
人の心に対して新しい発見があるかもしれません。

また、最後にそれアリなの?というような強烈なオチがあります。
これは言ってしまっては野暮なので、ぜひご自分の目で確認ください。

私はそのオチも含めて本作は「家族の真実の物語」だと思います。
残念ながら、現在Netflixやhuluなどで配信しているところはありません。
DVDレンタルか購入になりますが、とてもおすすめな作品です!