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傑作古典サスペンス!

映画『裏窓』のあらすじ・見どころを徹底解説

映画『裏窓』のあらすじ・見どころを徹底解説

映画の中には、その後の映画や社会に大きな影響を与えた「傑作」とよばれる作品がいくつか存在します。 今回紹介するのは、そうした「傑作」のひとつであり、後世のサスペンス作品に多大な影響を与えた古典サスペンス映画『裏窓』です。 鬼才アルフレッド・ヒッチコック監督の代表作とも称される本作は、1954年公開と半世紀以上も昔の「古典」ともいえる作品ですが、その魅力は今も健在です。 なお、記事の性質上ネタバレを含みます。本作は謎解き要素も見どころの一つなので、その点はご注意ください。

『裏窓』の基本情報

『裏窓』は、先ほども触れたように1954年に公開されました。監督はアルフレッド・ヒッチコックで、ウィリアム・アイリッシュの同名小説『裏窓』を原作としています。

主人公で負傷中のカメラマンL・B・ジェフリーズをジェームズ・スチュアートが、その恋人リザ・フレモントをグレース・ケリーが演じています。

作品の特徴ともいえる、「主人公が部屋からほとんど出ない」という革新的な撮影技法などが評価され、アカデミー賞4部門にノミネートされたほか、映画保護機関AFIが選出した「アメリカ映画ベスト100」では42位にランクインしています。

『裏窓』のあらすじ

主人公のジェフリーズは撮影中に脚を負傷し、ギブスをはめて療養していました。ニューヨークの一角にあるアパートから外出することもままならず、退屈な日々を過ごしていた彼の唯一の楽しみは、向かい側のアパートの住人を観察することでした。

そうして向かいのアパートを眺めながら過ごしていると、いつも口喧嘩が絶えなかった中年夫婦の妻が、突如としてその姿を消しました。

長く向かいのアパートを観察していたジェフリーズは、妻の失踪を数々の状況証拠から殺人事件と確信し、セールスマンを務めていた夫を容疑者だと考えました。

ジェフリーズは正義感から彼の恋人であったリザに事の顛末を打ち明け、捜査への協力を依頼します。

はじめは真剣に相手にしていなかったリザでしたが、容疑者の夫が大きなブリーフケースを手にしているところを目撃し、ジェフリーズに同調するようになります。

ジェフリーズは友人の刑事に相談し、捜査と逮捕を要請しますが、刑事は事件を認めようとはしませんでした。

そこで、彼とリザは刑事を納得させるため、確たる証拠を掴もうと危険なミッションに挑むことになるのです。

『裏窓』の見どころ

まず、何といっても「主人公が部屋からほとんど出ない」という、斬新な撮影手法が見どころです。

主人公は、このように向かいのアパートをただ眺めることを唯一の楽しみとしていました。

そこで事件が起こるのですが、基本的に動けないので事件には介入できません。そのため、恋人のリザが実働役として証拠集めに奔走するのですが、証拠をつかむことができません。

そうこうしていると、容疑者の夫に調査を感づかれ、ジェフリーズは一転してピンチを迎えることになります。

最終的には、主人公が襲われたことで負傷したため、容疑者の夫は逮捕されます。

そして、主人公は負傷のため片足にはめていたギブスを両足にはめることになってしまいますが、恋人のリザとは良好な関係を築いていることを示唆して映画は幕を閉じます。

ただ、この内容で注目すべき点は「殺人事件が起こった客観的証拠は一つもない」という点でしょう。

本当に殺人事件はあったのか?

この映画の主題ともいえる殺人事件ですが、実際に起こっていたのかどうかは作中で語られていません。

そのため、証拠といえば主人公とリザが集めた状況証拠のみであり、事件の発生を断定するには不十分です。

この内容をどう解釈するかが、我々に投げかけられたヒッチコックからの問いなのでしょう。

個人的には、事件はあったが罪には問えないのではないか、と解釈しています。

罪に問えないことから考えられる、恐ろしい後日談

この作品のクライマックスで、花壇から何かしらの証拠がみつかったことを示唆するシーンがあります。

もちろん、それすらも定かではないのですが、あえてシンプルに「殺人事件はあった」と考えてもよいのではないかと思います。
主人公が襲われているという点も、それを補っているように感じます。

しかし、確たる証拠がないというのもまた事実です。
そうなれば、容疑者の夫は逮捕されたものの、証拠不十分で罪には問われない可能性が高いと考えるべきでしょう。

すると、夫はそれほど遠くない未来に釈放されることになるでしょう。そのとき、彼は自分の周りを嗅ぎまわって証拠を集め、そして逮捕に追い込んだ男女の顔や住居を知っているのです。

私が夫の立場なら、この先にすることは一つしかありません。

まとめ

このように、あえて結末をはっきり語らなかったことにより、さまざまな解釈の余地が生まれている本作。

殺人や犯人を直接的に描写していないにもかかわらず、それとなく匂わせた上に退屈しない展開を生み出せるヒッチコックの力量は、さすがというほかありません。

古典サスペンス映画入門の一作として、ぜひ観てみてはいかがでしょう。