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酔っ払いしか出てこない!

おバカコメディ映画の金字塔『ビールフェスタ~世界対抗・一気飲み選手権』

おバカコメディ映画の金字塔『ビールフェスタ~世界対抗・一気飲み選手権』

日本における夏場の風物詩の一つに全国高校野球選手権大会、いわゆる甲子園がありますよね。高校球児たちは僅か一校にのみ与えられる深紅の優勝旗を目指して日夜鍛錬を重ね、苦楽を分かち合ったチームメイトと共に過酷なトーナメントを争います。そして試合に勝った側の喜びようはもちろんのこと、負けてしまった学校が涙を堪えながら相手校にエールを送ったり、マウンドの土を集め甲子園を去る姿に我々は感涙を禁じ得ません。 なぜ甲子園はこんなにも我々の心を動かすのか。それは“友情”を尊び、“努力”を惜しまず、“勝利”を目指すという我々日本人が重んじる価値観が顕著に表れているからではないでしょうか。そして映画大国アメリカには、コメディでありながらそんな三大原則を満たした映画があります。 それが今回ご紹介する『ビールフェスタ~世界対抗・一気飲み選手権』です。

『ビールフェスタ~世界対抗・一気飲み選手権』とは?

この映画は2006年にジェイ・チャンドラセカールによって製作され、2040万米ドルの興行収入を記録しました。
導入部分で黒地に赤い文字で “WARNING(警告)この映画の出演者はプロです、真似しないでください。これほど大量にお酒を飲んだら――あなたは死にます”という警告文が。俄然我々視聴者の興味を引きます。

そして舞台はいきなりアングラな雰囲気の賭博場へ。そこでは既に主人公の兄弟の弟がビールを使った賭け事に興じていて、僅か三分ほどでこの映画の雰囲気をまざまざと伝えてくれます。

その後、主人公兄弟は亡くなった祖父の遺言に従い、遺灰を撒きにドイツへと向かいます。ビールの本場ドイツでは日本でも有名なオクトーバーフェストが行われている真っ最中。そして主人公兄弟はひょんなことからオクトーバーフェストの裏で行われていた、ビールフェスタという各国の飲んだくれが国の威信をかけて浴びるようにビールを飲む戦いに参加することになります。
優勝したのは圧倒的な力を見せつけた本場ドイツの選手たちだったのですが、彼らは主人公兄弟と因縁浅からぬ仲で、兄弟の祖父母を口汚い言葉で罵り、あろうことか遺灰をぶちまけるという暴挙に出ます。兄弟は失意のうちに帰国しますが、ドイツ代表へのリベンジを誓い、仲間を集めて鍛錬を積み、翌年のビールフェスタに臨む…… というのがこの映画のあらすじです。

映画冒頭、ビールを使ったゲームに興じる主人公。この場面だけでは友情・努力・勝利のカケラも感じられないが……。

作品から学ぶ“友情・努力・勝利

主人公兄弟は大酒飲みで鳴らしたかつての友人たちを誘おうとするのですが、友人らにもそれぞれの生活があります。
ある友人は男娼、またある友人はカエルの精液からクローンを作る研究をしている科学者、そして更にもう一人はビールを飲み過ぎて仕事を首になってしまった巨漢。
勧誘は難航を極めますが、泣きっ面に蜂。兄弟は経営していた飲食店をドイツチームの嫌がらせによって営業中止に追い込まれてしまいます。しかしどれだけ困難な状況にあっても主人公兄弟はドイツチームへのリベンジを諦めません。そしてそんな友人に感化されたのか、様々な葛藤の末先述の3人は主人公兄弟の仲間に加わることになります。仲間が集まったら、特訓の開始です。

ビールフェスタでは単純に多くのビールを飲むだけではなく、ビールを用いた様々なゲームをこなしていく必要があるのですが、ゲームをこなす前にビールで酔ってしまっては話になりません。
私もお酒を飲む前は揚げ物を食べたり飲み薬を飲んだりといろいろ工夫しているのですが、彼らが得た結論は至ってシンプル。
そう、いくら飲んでも酔わなくなればいい!どうすれば酔わなくなるかって?たくさん飲んで慣れるのさ!
こんなザ・欧米のノリでビールをひたすら飲む特訓を始める主人公一同ですが、特訓の内容がまた癖の強いものばかりなのです。
一気飲みに慣れるために近所に住む動物の尿を飲んだり、道場破りの要領で他人の家で行われる宴会に乱入したりするなどなど…… コメディだからこそ許されてしまうものの、現実でこんなことをすれば間違いなく急性アルコール中毒で肉体的に死ぬか、犯罪者として捕まり社会的に死ぬかのどちらかという末路。
そんなアホの極みのような特訓を数か月に渡って重ねるのですが、彼らの顔は至って真剣なんです。大の大人が傍から見れば馬鹿らしいことを大真面目にやる、これがいかに難しく、そして美しいことか。気付いたら私は彼らと同じようにビールを片手にどっぷりと感情移入してしまいました。

その後も沢山の酔っ払いあるある、二日酔いあるあるを経て、仲間を襲う悲劇を乗り越え、チームとして一つにまとまり、いざビールフェスタ本番。彼らの努力は報われるのか――是非ともあなたの眼で見届けてください。

これは愛すべきスポ根おバカ映画だ

ハリウッドのスポ根映画としてはバスケットボールを題材にした『コーチ・カーター』、アメリカンフットボールを題材にした『ルディ・涙のウィニングラン』、そして言わずと知れたボクシング映画にしてスポ根映画の金字塔『ロッキー』シリーズがあります。
この映画は“ビール”というスポーツから遠くかけ離れた位置にある題材を、小気味良いテンポのコメディとスラングに友情・努力・勝利の三本柱を掛け合わせることによって、邪道ながらも王道に迫るスポ根映画として成立させた稀有な作品です。

もしあなたがお酒を飲める年齢なら、是非ともビールを片手に気心の知れた友人たちと一緒にこの映画をご覧ください。きっといつも以上にビールが美味しく、そして楽しく飲めること間違いなしです。