ホームへ戻る

カテゴリー

新着記事

ここ1ヶ月間の人気の記事

女心を映し出すファッションにスポットライトを!

ダメに生きるこじらせティーンエイジャー『ゴーストワールド』

ダメに生きるこじらせティーンエイジャー『ゴーストワールド』

高校を卒業したばかりのイーニドは進学・就職といった、彼女にとっての“ありきたり”な道を選ばずに、親友レベッカと二人で学生時代と変わらず自由奔放な毎日をなんとなく過ごしながら、なんとなく二人暮らしをはじめることを夢見る。 狭い世界にいたイーニドとレベッカの関係は、人との出会いや環境などの様々なスパイスによって変化を繰り広げる。 どんどん大人になっていくレベッカと、「このままじゃダメだ」と思いながらも大人になることができないイーニド。彼女たちの成長や心境の変化は、ストーリーだけでなくファッションやヘアスタイルによく表れていて、視覚的にも見どころ満載の映画です。 そんなオシャレなスタイルが特徴な『ゴーストワールド』を、今回はファッションの変化で分析したいと思います。

第一印象がどうした!反抗のグリーンヘア

毎日学校に行く生活が終わり、新たなスタートを切ろうとする二人。
カフェでブラックジョークを交えながらおしゃべりしたり、目的はないけどおしゃれして街を歩いてみたり、まだまだ見た目も中身の子どものイーニドとレベッカ。

学生時代と変わらない毎日を純粋に楽しむイーニドと、次のステップに進むために準備をし始めるレベッカ。夢の二人暮らしを実現するためにレベッカは仕事を積極的に探し始めるも、イーニドは仕事探しが乗り気ではない様子です。

二人の気持は平行線のままですが、レベッカはイーニドに提案します。
「アパートを探しに行くときは、お金持ちのフリしようよ」と。
このレベッカの誘いに納得できない表情のイーニド。
「バカじゃない?」と口にはしなくても表情が物語っています。

翌日、誘いを見事無視して髪をグリーンに染めてしまったイーニド。
もう大人なんだから見た目も繕わないと!と思うレベッカと、第一印象を気にするなんてつまらない!と思うイーニドの間には、少し距離ができてしまった気がします。

内面も外見もガールからレディに

出会い系サイトのいたずらで知り合った、モテないこじらせおじさんのシーモアと過ごす時間が増えたイーニドは、相変わらず仕事が見つかりません。
社会に順応することをすでに諦め、開き直っているシーモアと過ごしていると「自分も順応できなくてもいいや。人間関係うまくいくやつなんてバカばっかりだし!」と、こじらせに拍車がかかるばかり。

一方、レベッカは仕事が定着し立派な社会人になっていきます。
二人暮らしも夢から現実にするために着々と歩みはじめるレベッカは、物語の冒頭に比べて随分大人びて見えます。
かきあげた前髪に、上品なホットピンクのカラーシャツ。
行動的ではないイーニドといながらも、自分の意見を発信し、リードしようとするレベッカは、見た目だけではなく中身も大人に変化していることが分かります。

はじめは似た者同士でバランスよく見えた二人でしたが、関わっていく人間や環境のちがいから自分自身が変化していき、次第にアンバランスさを感じるように。

わたしだって大人になりたい!挑戦のレッド

物語が後半に差し掛かってもかわらず自由奔放に生きるイーニド。
社会に順応できない自分と仲間だと思っていたシーモアでさえも、彼の同年代の女性と出会いイーニドに構う時間が減ってしまいます。

イーニド以外の登場人物は、それぞれ目標があり、目標に向かって生きている。
しかし、イーニドにはしたいことも、夢もない、夢を探そうと思う好奇心も彼女にはないのです。

それでも意地っ張りでプライドの高い彼女は、目標もないままがむしゃらに行動開始。まったく乗り気ではなかった仕事をはじめようとしてみたり、誰かに愛されたくて身近にいる男性に愛情表現をしてみたり、はじめて社会に順応してみようと試みるのです。

寄り添い合える人がいなくなってしまう物語の後半で、いままでカラフルだったイーニドのファッションは赤色がメインに。
赤は女性を強く見せるカラーなので、強く、そして情熱的になりたいと思うイーニドの心境が読み取れます。挑戦的なイーニドは少し大人びて見えますが、がむしゃらに行動しすぎてすぐに燃え尽きてしまいます。炎が燃え尽きて、保守的になるときにはダークカラーのファッションに早変わり。

学生という枠組みから解放されるときには、学生時代にあったルールがなくなり解放されたという気持ちが強くなります。
でも学生が終了したら次は社会人、社会人にもルールがあります。
学生時代の文字で示された校則とはちがう、目に見えないルールが。
ストーリーだけでも思春期の葛藤が伝わるのですが、大人になりたいけど思考がうまくついていかない主人公イーニドの心の叫びがファッションからヒシヒシと伝わってきます。

感情が忙しく移り変わるティーンエイジャー。
おしゃれ映画が好き!だけど、シンデレラストーリーは現実味がなくて飽きちゃった…。
そんな気持ちを抱いている方はきっと『ゴーストワールド』の虜になるに違いないです。