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名作というほどの映画ではないけど…!?

サスペンス映画のツボを心得ている『追いつめられて』

サスペンス映画のツボを心得ている『追いつめられて』

1987年のアメリカ映画『追いつめられて』は、批評家から絶賛された名作ではありませんが、ヒッチコック映画のように、見ている方をハラハラドキドキさせるツボを心得ている作品です。主演のケビン・コスナーは、80年代後半からメキメキと頭角を現し、現在も一線で活躍しているハリウッドスターの一人です。TSUTAYA発掘良品にも選ばれている『追いつめられて」』は、ケビン・コスナーを知らない方でも充分に楽しめる映画だと言えます。ケビン・コスナーの若かりし頃は“イケメン枠”で、お歳を重ねてからは“ダンディなおじ様枠”入っているハリウッドスターです。ケビン・コスナーを知っている方でしたら、“イケメン枠”だった頃のセクシーなケビン・コスナーを充分に堪能することができるはずです。軍服姿は素敵過ぎます。

ケビン・コスナーの演じるラブロマンス

パーティーでスーザンと出会った海軍将校トムは、彼女が国防長官ブライスの愛人だと知らずに恋に落ちてしまいます。
一方、スーザンに男の影を感じたブライスは、嫉妬に狂い彼女を殺してしまいます。
犯人はブライスなのですが、スーザンの恋人であるトムが映画のタイトル同様に「追いつめられる」ことになる、というあらすじとなっています。

『追いつめられて』の原題は、「No Way Out」(出口なし)です。原題の意味合いが違う日本語タイトルの映画はざらにありますが、『追いつめられて』は原題の意味合いを成す日本語タイトルで、内容を明確に表現していると言えます。
ジャンルはサスペンスタッチの映画なのですが、前半は恋に落ちたトムとスーザンの、見ている方が恥ずかしくなるぐらいのラブラブっぷりが描かれています。
この二人はモデル級の美男美女ではなく、重ねてきた年月から漂わせる雰囲気を醸し出し見ている方を刺激してくれます。
当時、ケビン・コスナーは苦楽を共にした奥さんと幸せな家庭を築いていましたが、銀幕で家庭臭などを感じさせることのないハイスペックなイケメンぶりを発揮しています。
数年後、ケビンの浮気で夫妻は離婚しています。
スーザン役のショーン・ヤングは、有望株の女優だったようですがスキャンダル続きで失速してしまったようです。

ロマンスから…急転直下のサスペンス

愛するトムと権力者ブライスとの間で悩むスーザンは、嫉妬に狂ったブライスに殺されてしまいます。
ブライスに二階から突き落とされたスーザンが、ガラステーブルに落下するシーンはインパクトがあります。
ここから一挙に、ハーレクインロマンスからサスペンスに移行していきます。

ブライス役のジーン・ハックマンは、権力者でありながら年若い女性に夢中な初老の男の哀れさが見事にマッチしています。
さすが、主役から脇役まで何でもこなせるオスカー俳優です。
スーザンを殺してしまったブライスは警察ではなく、有能な秘書のプリチャードに助けを求めます。
ゲイでブライスを崇拝しているプリチャードは、スーザンが国防省にいると噂されているソ連のスパイに殺害されたという筋書きを立てます。
プリチャードが考えた筋書きは、陰謀に事欠かないアメリカでは説得力があります。
しかし、漫画でボーイズラブ系を読んでいる私にとっては、ゲイであるプリチャードが崇拝するブライスのためにひたすら尽くす姿はツボにハマります。

プリチャード役のウィル・パットンは、芸歴の長い俳優のようですが詳しいプロフィールは不明です。脇役で光る俳優のようなので、アカデミー賞助演男優賞でも受賞してそうですが、その手の受賞歴はなさそうです。
トムとプリチャードの息詰まる攻防戦の中、徐々に狂気と化していくプリチャードの扮する彼の演技は、ケビン・コスナーやジーン・ハックマンのような主演を張るような俳優と互角に渡り合える存在感を示しています。

追いつめられて…真犯人探しに奔走する主人公

何も知らないトムは、ブライスとプリチャードからスーザン殺害の犯人の調査を依頼されます。
ブライスに関するものはプリチャードにより処理され、残る証拠が調査されればトムだと判明するのは時間の問題です。
トムは、恋人の死を悲しむ間も無く真犯人捜し奔走することとなります。

大ヒット海外ドラマ「CSI:科学捜査班」のように、最先端の科学捜査で事件を解決する手法は、『追いつめられて』でも取り入れられています。
とは言うものの、PCが分厚いのには時の流れを感じます。
分析結果でスーザンの体液から、トムは自分と同じ血液型が判明したのを知らされ、あ然する場面は笑いを誘います。
これだったらトムは瞬く間に追いつめられそうですが、当時の科学捜査能力はまだまだなので、その間にトムは真犯人捜しに奔走することができます。
当時の旬の俳優ケビン・コスナーが主演なのでアクションはあるのですが、肩書は海軍将校だけど普通の男性よりは動きのあるのアクションとなっています。
アクションに派手さはないものの、追いつめられる男の緊迫感があります

古いけど面白い秀逸なサスペンス

トムとスーザンのラブラブなパートから様々な伏線が張り巡らされており、話が二転三転する中、様々に伏線を辿っていくと意外なラストに繋がっていきます。
私は未見なのですが、『追いつめられて』はフィルム・ノワールの傑作である1948年の映画『大時計』のリメイクです。
基本設定は一緒なのですが、 80年代後半の世情やテクノロジーを上手く取り入れており、リメイク作品としては成功していると言えます。
『大時計』のレンタルDVDはなさそうなので、TVで放映してくれるのを期待しています。

映画の技術は日々発展しているため、これから本作を見る機会のある方は少々古く臭さを感じるかもしれません。
私もかつて映画好きの両親の勧めで、少々古臭さを感じるモノクロ映画を観たことがありますが、しっかりとした脚本とストーリーに沿った俳優陣の演技に引き込まれ見入ってしまいました。
『追いつめられて』は、“古いけど面白い”という部類に属する秀逸なサスペンス映画だと言えます。