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ええ!ホントは諸葛孔明は赤壁にいなかった?

映画『レッドクリフ』を史実と比べよう

映画『レッドクリフ』を史実と比べよう

中国の名画、『レッドクリフ』をご存知でしょうか。 ジョン・ウー監督による、三国志を舞台とした、壮大なアクション映画です。 「レッドクリフ」は漢字に直すと「赤壁(せきへき)」。三国志で最も有名な戦い、「赤壁の戦い」が起こった場所のことです。中国の大河、長江(ちょうこう)で繰り広げられた水上戦で、沈んだ船、溺死者は数知れず。かの地では今も、「夜になると、赤壁の戦いで死んだ人の悲鳴が聞こえる」と言われています。映画レッドクリフでは、この大戦の見どころ、魅力的な登場人物、張り巡らされた戦略の数々を、余すところなく描いているのです。

『レッドクリフ』はこんな映画だ! 周瑜(しゅうゆ)と諸葛孔明、男の友情

舞台は三国時代。強大な魏(ぎ)を治める曹操(そうそう)は、目障りな蜀(しょく)と呉(ご)の国を、一気に攻め落としてしまおうとしています。
蜀の劉備(りゅうび)は軍師(ぐんし)諸葛孔明に勧められ、呉と同盟を結ぶことを決意。諸葛孔明は呉に旅立ちます。そして、呉の軍隊を一手に握る武将・周瑜と出会うのです。
諸葛孔明と周瑜は互いに意気投合。「曹操の魔手から、この美しい故郷を守らねばならぬ……」二人は手を取り合い、知恵の限りを尽くして曹操と戦うことを誓うのでした。

見ていて、実にほれぼれとする男の友情です。
互いに、天下にまたといない知恵者の二人。アッとおどろく戦術、裏の裏をかいた謀略。そしてラストの水上戦。曹操側の大船団を火攻めで焼き尽くすのです。
周瑜の率いる船団が、それぞれ火種を山と積み、曹操の船団に体当たり。火柱を上げて船が燃えていく様は鳥肌が立つほどの大迫力です!

ホントは諸葛孔明はいなかった!?周瑜の一人勝ちの赤壁

しかし、史実ではどうなのでしょうか。

赤壁の戦いは、古代中国で実際にあった戦いです。無論、諸葛孔明も周瑜も曹操も実在の人物。
三国時代の正史を読み解くと、驚くべき事実が書いてあります。

なんと、レッドクリフの主役とも言うべき諸葛孔明は、赤壁の戦いに参加していなかったのです。
蜀と呉が、曹操と戦うべく同盟を結んだのは事実です。ですが、実際に戦いに参加したのは、関羽(かんう)や張飛(ちょうひ)など(この二人も映画レッドクリフに登場します)武将だけでした。軍師の諸葛孔明は呉には行かず、国元で留守番をしていたのです。
赤壁の戦いで、曹操相手に知恵を絞り、数々の戦略を打ち立てたのは周瑜一人。まさに、周瑜の圧倒的な一人勝ちだったのでした。

諸葛孔明は参加していたけれど……。周瑜とケンカばかり! また少し違う小説三国志

史実ではそもそもその場にいなかった諸葛孔明。
小説の三国志では、また少し違う展開です。

小説では、諸葛孔明は呉まではるばるやってきて、周瑜と出会います。しかし、映画『レッドクリフ』のような美しい男の友情は全くありません。彼らは寄ると触るとケンカばかり。あげく、周瑜は諸葛孔明に恨みを抱いて暗殺計画まで練るのです。

それというのも、諸葛孔明は神の如き頭脳の持ち主で、周瑜も天才ですが今一つ諸葛孔明の才知には及ばなかったのです。
諸葛孔明は周瑜の才能をバカにしたり、周瑜が立てた戦略をやすやすと見破ったりして、ことごとくプライドを傷つけていきます。
最初は我慢していた周瑜ですが、塵も積もれば山となる。憎悪が募って、「あいつを殺さねば安らかに眠れない!」と暗殺を決意するに至るのでした。

手を取り合う諸葛孔明と周瑜!読者の要求に応えた映画『レッドクリフ』

いかがでしょうか。史実でも、小説でも、諸葛孔明と周瑜は全然仲が良くなかったのです。また、いっしょに活躍するという場面もなかったのです。

ですが、三国志を少しでも知っている人であれば、一度は願わずにいられないこと。

「三国志で一番人気の高い諸葛孔明を、三国志のハイライトである赤壁で活躍させたい!」「蜀の天才軍師諸葛孔明と、呉の天才武将周瑜を、仲良く活躍させたい!」

これは読者の総意と言っても過言ではないでしょう。諸葛孔明と周瑜は、どちらも天才肌で格好良く、不滅の人気を誇るキャラクター。この二人が手を取り合って協力する場面は、まさに夢の競演です。

映画『レッドクリフ』は、この読者のわがままなリクエストに見事に応えた作品なのです。
諸葛孔明は日本人俳優の金城武。周瑜は中国人俳優のトニー・レオン。実力派俳優の二人が、両者の友情が深まっていく様子を見事に演じています。二人が夜、向かい合って琴を奏でる場面がありますが、何も語らず、琴の音に互いの心情を読み取る……。実に心憎い演出です。

三国志の小説や漫画を読んで、ケンカばかりの諸葛孔明と周瑜に心を痛めた方。ぜひご鑑賞ください!
また、レッドクリフは観たけれど、史実や小説の諸葛孔明と周瑜は知らなかった、という方。生涯分かり合えない二人の天才の運命を心に置きつつ、もう一度映画を観返してみると、また別の味わいがあることでしょう。
 もちろん、「三国志は全然知らない」という方もぜひご鑑賞下さい。何の知識がなくても、アクション映画として十分見ごたえのある映画です。また、三国志の入門としてもお勧めです!